乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

第7話 無限ループって言葉が使いたいだけ~だって、無限なんて、そんなことあるわけないじゃん~

こんにちは。

 

僕はパワーアップした。

 

今までは右の腎臓からだけだった管が

今は、左からも出ている

右は拡張したため太く

左はまだ細い。

 

どうやら左の腎臓はほとんど死んでるらしく

3%ほどしか機能していないらしい。

3%て

だから、左からほとんどおしっこは出ない。

 

右のおしっこバッグは大きめ。

左は小さめ。

 

まるで宮本武蔵じゃないか。

二刀流

 

なんてこった。

 

改造人間ってだけでもカッコいいのに

さらに宮本武蔵になっちまった。

 

あふれ出る無敵感。

最強のヒーロー誕生の予感。

 

え?点滴棒?あ、1本で大丈夫っす。

左右のバッグ一緒に引っ掛けちゃうんで、はい。

すんません、ありがとうございます。

 

さぁ、かかってこい!

世界の平和は俺が守る!!

 

前回の続き、はじまります。

 

VS出産

看護師さんに支えてもらいながら

ベッドに移って横になる。

背中はえぐられたようにズキンズキン痛む。

 

チャラ先生(こう呼ぶのは申し訳ないが、、)が病室に来る。

 

完全に生気を失って帰ってきた僕に施した施術の説明を

妻と母親にするためだ。

 

ひととおり説明を聞いた母親が先生に聞く

「こんなに辛そうになっちゃうもんなんですか?」

ボーっとした意識の中にも、先生の声が聞こえる

「女性の出産くらい痛いと言われるのが、男性の場合は尿管結石って言われてるんですけど、腎臓に関しては、それ以上に痛いって言われてるんで。まぁ、痛いですし、こうなりますよね」

 

マジかよ

 

「そんなん聞いてねぇぞ、、」

なんとか声を絞り出して、ベッドから先生に投げる

だってそれ先に言っちゃったら、中林さん絶対逃げるでしょ

 

たーしーかーに!!

 

いやん、よくわかってらっしゃる。

 

無限ループ

ドカンと熱が出た。

一気に40度を超えていく

 

オイオイ

マタカヨ、、、

 

つい昨日までも高熱で

体力が削られたままなのと

今回は背中の痛さが加わって

恐ろしく辛い。

 

「痛い辛い痛い辛い」の無限ループ突入。

 

一気に40度オーバーまで熱が上がると

朦朧としたりするもんで。

その時は意識して言ってたと思うんだけど

うわ言のように

「大丈夫」「頑張れ」と呟いていたらしい

 

意識朦朧としたおっさんが自分への応援を

ひたすら1人呟く。

もはやホラーだ、恐ろしい。

 

夜中の採血

病室に戻ってきたのが15時くらいか。

母親は20時半まで、面会時間いっぱい居てくれたらしいが

ほとんど記憶にない

 

寝てたからか、といったらそうではなく

ずっとうなされてる感じ

痛い辛い痛い辛いの無限ループ

 

点滴で、痛み止めや睡眠薬を投与するも全く効かず

夜中もうなされていると

看護師さんと、先生らしき人が2人来た。

 

採血をしにきたと説明する先生は、声と話し方からしてベテランか。

裸眼のため、顔は全く見えない。

 

新人到来

ベテラン先生が、もう1人の先生に採血の指示をする。

腕の血管を探す。

嫌な予感がする。

 

こいつ

 

新人だ

 

針を刺す。

血が引けない。

 

違う場所を探す。

 

針を刺す。

血が引けない。

 

マジかよコイツ

 

「おい、大丈夫かよ」

朦朧としながらも僕が言う。

 

動くこともできない僕は絶好の実験台だ

 

「ゴメンなさいねー」

ベテランの先生が謝りながら次の指示を出す。

 

「手から採れないなら、足から採れよ」

 

マジかよ

 

股の部分?あたりに針を刺す

痛い。

血は引けない。

 

最終的に

ベテラン先生が腕から採血した。

 

マジ

ナンナンダヨ、コイツラ。

 

痛い辛い痛い辛いの無限ループは

まだまだ続く。

 

つづく。