乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

第4話 ロープなしのバンジージャンプ~ただの飛び降り自殺やないかぁーい!~

こんにちは。

 

僕ね

子供大好きなんですよ。

 

え?

好感度を上げようとしてるって?

 

そもそも

 

僕がこれ以上好感度を上げる必要、、、ありますか?

 

やだ、、、

かっこいい、、、

 

きゃーー!!!

こっち向いてーー!!

抱いてーーー!!!

 

ちょっと外野が騒がしくなっちゃいましたけど

もういちど言うとね

僕、子供大好きなんですよ

 

きゃーー!!

目が合ったーー!!

あなたの子供産ませてー!!

 

えーホントすいませんね

アパレルから転職する時

保育所とか幼児施設関係とか、障害児関係とか

10社くらい面接受けたくらい

子供大好きなんですよ

 

まぁ、全部落ちましたけど

 

きゃーー!!

私もあなた色に染めてーー!!!

あなたに永久就職させてーー!!

 

ふぅ、、、しょうがないな、、、

 

みーんなー!!!

愛してるよーーー!!!

 

 、、、

、、、

、、、って、なにこれ!!!

 

はじまります

 

生きてるぜ

 

、、、さん、、、

 

、、、な、、やしさん、、

 

、、、なかばやしさん、、、

 

「中林さーん、聞こえますかー?」

 

どこからともなく、主治医の先生の声が聞こえる、、

頭がボーっとして、状況が理解できないまま

うっすら目を開けると

先生が覗き込んでいるのがわかった

 

中林さーん、聞こえてますかー?

 

僕はゆっくりと頷く

 

あ、そうだ、、

手術してたんだ、、、

思考が少しづつ働き始める

 

「中林さーん、無事に終わりましたんでー」

 

終わったのか、、、

何がどう終わったのか、まだそこまで思考が追いつかないが

生きてるぜ、と思った

 

フラッシュバック

 

主治医の先生や、偉い先生方

メインで手術をしてくださったのであろう方々が手術室から出て行くのがわかった

 

残ったのは5名くらいか

寝ている僕の左に看護師、右に医師、頭側に麻酔科医

色でわかる

足元はよく見えないが1~2人の気配がする

 

先生方が出て行ったあと

ぺちゃくちゃ喋りながら作業し始めた

声的に明らかに全員若い

ってことは右の医師は、研修医

 

研修医以外は、たぶん全員女性で

研修医がノリノリで喋っている

 

おーい、まだ僕ここにいますよー!

なんなら、ちん○んも丸見えですよー!

 

声を大にして言いたかった

 

僕の体を動かす時に

研修医の指が思い切りお腹の傷?穴?にめり込んだ

 

「いっっってぇぇ!!」

 

「手術終わったばっかだから痛いよねー」

 

、、、そういうことじゃねぇだろ

 

周りが女性だからか、空気が読めないのか

思いきりタメ口でくる

恒例の研修医が使えなくてバカなパターンだ、、、

まさかこのタイミングか、、、

 

生命線消滅

 

事件は起きた

 

「あれ、なにこれ?」

「抜けちゃってんじゃん」

研修医が言う

 

「え?何がですか?」

周りが反応する

 

足元側にいた看護師?が、僕の右、研修医の方に来て

明らかに焦りで声色が変わった

 

「これ切れてます!」

「え?何が?何が?」

全員騒ぎ出す

 

「硬膜外麻酔のチューブです!」

 

、、、!?

 

「え?なんで!?なんで!?」

「ついさっきまで送れてたよ!?」

麻酔科医が言う

 

「わかんないです!」

「マジで!?」

「オーマイガー!」

それぞれ騒ぎ出す

 

、、、マジか、、、マジかよ、、、

、、、マジかよ、、、

ボーっとした頭の中を、同じセリフがグルグル回る

 

確信はないが

麻酔のチューブは僕の右に出てた

右側には1人しかいなかった

 

調子乗ってぺちゃくちゃ喋ってんからだろうが、、、

 

バカ

 

「どうする?」

「どうします?」

 

先生に指示を仰げや!

 

僕はそう思ったが

 

人間怖いもんで

 

「まぁ、しょうがない」

「大丈夫大丈夫、なんとかなる」

研修医を中心にそう言い始めた。

 

「とりあえず背中の切れたチューブ抜きますか」

 

「はい、横向いてねー」

左を向かせるために研修医が持ち上げる

また傷口

 

「いっっってぇ!!」

 

「しょうがないしょうがない、我慢ねー」

 

こいつマジわかってねぇ

 

もう一回持ち上げる

また傷口

 

「いっっっっってぇよ!!!」

 

力を振り絞って

研修医の手を思いきり払った

 

たぶんちょっとムカついたんだろう

「痛いのはわかるけど横向いてもらわないとー!」

 

こいつマジ、、、

 

僕にはもう反抗する力は残っていなかった

 

限界

 

「あ!鼻の管(名称聞き取れず)どうしよう!」

麻酔をワンプッシュしてから入れる予定だったんだけど!」

麻酔科医が言う

 

「しょうがない、このままやるしかないっしょ」

と、研修医

 

、、、何?何?

 

麻酔科医と研修医、2人がかりで鼻から喉?胃?に管を入れてくる

 

「オエッ!!オォォォエ!!オエッ!!」

 

涙が大量に出てきて

何より嗚咽するたびにお腹に激痛が走り

傷みで身体が跳ねた

 

急激に血の気が引いていくのがわかり

震えを通り越して

身体が跳ね始める

 

経験したことあるやつ

vs-cancer.hatenablog.com

 

シバリングシバリング!」

麻酔科医が言う

今思えば、前もこれ言われたな

 

身体を温められる

点滴はどうだったかわからない

 

落ち着くのを待ってベッドに移され

手術室から出された

 

もうピクリとも動けなかった

 

手術室から出る時に

たぶん、出てくるのが遅いから心配したのであろう

ダヴィンチを操作してくださった教授が確認しに来た

 

「なぜか麻酔のチューブが切れてしまっていたのですが、問題ないです」

みたいなことを言っているのが聞こえた

 

、、、ふざけんな、、

 

手術は終わった。

 

硬膜外麻酔の夢は消えた、、

 

つづく