乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

第1話 見た目もデカさも相当派手な癌~前田慶次とどっちが傾奇者なのか~

こんにちは

 

平成が終わり

令和へ

新時代への移り変わりを楽しめといわんばかりの大型連休。

世は盛り上がり、新時代に沸く。

 

平成最後に

おしっこバッグ抱えて社会に放り出された

おっさん1人。

 

彼は改造された。

改造されたはずなんだ。

 

行け、行くんだおっさん。

立て、立つんだおっさん。

 

世界の平和が待っている。

 

2度目の入院のお話はじまります。

 

夫婦外来

よくよく考えてみれば

うちの妻は旦那の病状をよく知らない。

僕が先生に言われたことをそのまま伝えただけだからだ。

いいかげんで適当な旦那の口から発せられる言葉ほど

信用できないものはない。

 

あらやだ

あたし、そんなに信用ないかしら。

 

退院して数日後

今後のスケジュールの話も含めて

夫婦で外来に行くことになった。

 

癌宣告

診察室では相変わらずチャラい先生が

僕の担当医師であり、良い先生なのだが、いかんせん雰囲気がチャラい。

 

「あれ、膀胱鏡とかCT、MRIの写真て見せましたっけ?」

 

パソコンをカチカチやり始め、モニターに写真が映し出される。

 

イソギンチャクや。

 

これが南の海特集だとしたら、綺麗だと思ったかもしれない。

白く赤い筋の入ったイソギンチャク。

 

「これが腫瘍の写真すね」

 

「はっきり言って、相当派手なレベルす。」

 

相当派手て、、

 

同時に違う写真もモニターに映し出す。

 

「こっちがMRI、これがCT」

MRIは主に、癌、いや腫瘍の浸透率、組織のどこまで浸透してしまっているのかがわかります。 中林さんの場合は、精嚢部分にまで浸透しちゃってるんで、正直深いす。

「CTは他細胞や内臓に転移しているかどうかが確認できます。中林さんは、ここまで放置してたのに今のところ転移は見られないです。これはスゴイす、ホントよかったです。」

 

僕は入院中に先生から聞いていた。

それをそのまま妻には伝えたつもりだったのだが、

まるで初めて聞く話のように聞いている。

 

最終的には、膀胱、前立腺、尿管の全摘出手術になると思います。

泌尿器科で最も大きな手術になります。

診察も終わりに近づき、先生が何か聞きたいことを訊ねた。

 

結局、主人は癌なんですか?

 

「次回の入院で、腫瘍の細胞を採る簡単な手術をして、本来、その分析結果で良性か悪性かわかるのですが、中林さんの場合、見た目と、大きさが相当派手なんで、間違いなく悪性だと写真だけでわかるレベルですね。」

 

当たり前

 

診察室を出ると、妻は泣いていた。

理由を尋ねると

僕がかわいそうとのことだった。

 

かわいそう

 

逆の立場だったら僕も思うのかもしれない。

 

ただ

自分が言われてみると

 

違う気がした。

 

因果応報。

自業自得だ。

散々好き勝手やってきた代償だ

 

決して、かわいそうではない

 

当たり前なのだ

 

たぶん、いいかげん神様が怒った。

 

それだけのことなのだ

 

ただ、家族のことや、今後のこと、未来のことを考えると

神様、今じゃねぇだろバカヤロウ

誰かのせいにしたかった。

大型連休

ここまでのんびりしたのも何年ぶりだろうか。

 

色々とやらなければならないことはあるのだが

気持ちの整理と、とりあえず落ち着きたい

ということもあり

連休中は子供達を連れて実家に帰ることにした

 

たった2週間の入院で、全然体力がなくなっていた

実家は山の方にあるので、リハビリにはちょうど良かった。

 

自分の子供達を連れて

自分が子供の頃の思い出の場所をのんびり巡る

 

悪くない

 

数日後、姉と姉の娘も合流し

賑やかな連休を過ごすことができた。

 

悪くない。

むしろ良い。

 

世間が令和になったことなんて

どうでもよかった。

 

つづく。