乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

第6話 びんびんというラーメン屋 珍満という焼肉屋 もはやエロスの世界だと思う

こんにちは

 

くだらない

おじさん2人ぶらり旅が思ったよりも長引き

 

早く終わらせなきゃ、と焦る僕の心とは裏腹に

 

意外と好評なお言葉をいただいたりして

 

絶対こうだと思ってた

気になる彼の心が

最近、実は違うんじゃないかって

ちょっと不安になる

 

そんな乙女心に近い

胸中複雑な今日この頃

 

このままだとパパのファンができてしまうのではないか

 

その勢いで、あいつに彼女なんてできてしまうのではないか

 

やべぇ

 

そんなことになったら

 

ちょーおもしれぇじゃねぇか

 

ご興味ある方いらっしゃいましたら

こちらまで

 

サボってた分

まだまだ先は長いぜ、、、

 

はじまります

 

ツインルーム

 

パパとツインルームで寝るのは初めてではない

 

去年の9月

友人の結婚式で大阪に行った時以来だ

 

この時はこの時で

大阪に着いて、道を歩いてる時に

パパの革靴の底が取れる、という

笑いの神が降臨した

 

さらに言えば

その数時間後には

左右両方とも底が取れていて

式場でハサミと両面テープを借りて応急処置をしていた

 

これには参った

 

こいつ、、やりやがるな、、と

少し嫉妬したくらいだ

 

やべ

話を戻そう

 

というわけで

おじさん2人同部屋は慣れたもんで

缶ビールとサワーをちょびちょび飲みながら談笑し

 

気づけば朝方で

そろそろ寝るかとベッドへ潜る

 

新膀胱

 

チェックアウトまでグッスリ

と言いたいところだが

 

いかんせん僕は新膀胱使用なもんで

いろいろと面倒臭い

 

普段は、大体2時間毎にトイレへ行っているが

酒を飲んで、尿が溜まるペースが早い今

1時間毎にアラームをかけ、トイレに行かなければならない

 

起きれなかったらどうなるか

 

新膀胱のキャパを超えてしまい

あとはダダ漏れになる

それを繰り返すと

新膀胱が伸びきって巨大膀胱となり

一生、毎回導尿しなければいけなくなる

 

そんなん地獄やん

 

寝落ちする寸前までトイレに行き

アラームを1時間毎にセットする

 

隣で寝てる豚のイビキが凄すぎて

おかげでお漏らしすることなくトイレに行けたのと

「殺意」というのはこういうものなのだ、と少しわかった気がした

 

いざ

 

10月29日(火)

 

朝から行く場所は決まっていた

 

昨日スナックで会ったギャンブラーママに聞いた

オススメのパチンコ屋だ

 

熱いシャワーで目を覚まし

気合を入れてチェックアウトする

 

外はドシャ降りだった

 

神様も憎い演出しやがる

 

数時間後には

この雨が札束になっているってことか

 

おじさん2人は足を踏み出した

 

運命

 

外はドシャ降りだった

 

雨は朝よりも強くなり

気温も低くなっているように感じる

 

午後行こうと思っていた病院は予約がいっぱいで後日連絡になった

 

「温かい、、美味しいラーメンが食べたい、、、」

 

心なしか朝よりも一回り小さくなったパパが、そう呟く

 

「ちょっと待ってろ、スグ調べるから、、」

 

そう声をかけ

某有名口コミサイトで「八王子 ラーメン」を検索する

 

さすがは八王子ラーメンメッカの地

点数の高い店がこれでもかと出てくる

 

1件のラーメン屋で手が止まった

 

「元祖敏々亭 びん○ん 本店」

 

、、、え?

 

地図で場所を確認してみる

 

駅の反対側、少し歩くが

間違いなく昨日の店ではない

 

本店、、、

 

他店舗の場所もチェックしてみる

 

他の店舗も昨日の店ではない

 

点数は3.6

高得点だ

 

ここか

 

どうりで昨日

八王子で、びん○んって聞いたことあると思った

 

ここのことだったのか

 

僕は間違っちゃいなかった

 

「パパ、、神様が最後に情けをかけてくれたよ」

「せめてラーメンだけでもリベンジして帰ろう」

 

駅まで向かい、反対側へ渡り

びしょ濡れになりながら

 

最後の救いのラーメンのためだけに

ただただリベンジをするためだけに

 

おじさん2人は足を前に出し続けた

 

びん○ん 本店

 

先客は4名いた

 

昼時のピークは過ぎているし

平日で、ましてやこの天気だ

この条件で、僕達を含めて6名はぼちぼち期待できる

 

救われたい願望と

リベンジへの期待から

パパはチャーシューメン大盛りとウーロンハイ

僕はラーメン玉ねぎ増しとビールをチョイスした

 

先に出されたウーロンハイとビールで

まるで今から今日1日がスタートするかのように乾杯した

 

「中林さん」

 

「ん?」

 

「いやな予感がする」

突然パパが言った

 

パパの目線を追うと

テーブル横のメニュー表を見ている

 

何が言いたいのかスグにわかった

 

「いや、それはないだろ」

 

さすがに「そんなはずない」という意識が勝ち

パパの不安を否定した

 

「そうだよね」

 

そうこうしてるうちに

チャーシューメンの大盛りが着丼した

 

好物の缶詰を出された時の犬のように

目の前の豚ががっつく

 

スープをすすり

麺も豪快にすする

 

動きが止まる

 

スープをすすり

麺も豪快にすする

 

パパの一連の動きが2度止まったところで

僕のラーメンも着丼した

 

ラーメンの表面が玉ねぎで覆われている

 

スープをすすり

麺も豪快にすする

 

動きが止まる

 

パパの視線を感じる

 

そんなはずはない

 

スープをすすり

麺も豪快にすする

 

パパと目が合い

言ってはならないと思いながら

お互い口に出した

 

 

「卵焼きの味がする、、、」

 

「俺、、、大盛り頼んじゃったよ、、、」

 

さらば八王子

 

たしかに店名は同じだが

系列店舗に昨日の店は確実になかった

 

しかし、メニュー表は同じだった

スープも麺の味も、、、

 

昨日今日連続て、、、

 

好みの味ならまだしも、、、

 

3.6て、、、

 

ずぶ濡れになってまで来たのに、、、

 

こんなことってある?

 

この事件を引き金に

かろうじてパパをつないでいた鎖が切れてしまい

 

彼はこの後もパチンコで暴走し

早めの時間から居酒屋で酒を飲み

 

お互い八王子を後にした

 

 

 

数日後

 

パパから1通のショートメールが届いた

 

 

「ダレカナイゾウカッテクレナイカ?」

 

 

 

おじさん2人旅編 完

 

つづく