乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

最終話 1リットルが1キログラムなのは、水の比重を1とした時である。

 こんにちは。

 

僕は改造人間になった。

 

仮面ライダーのような超人的な力を手に入れたわけでもなく

COBRAサイボーグ009のように身体の一部が武器になるわけでもない

ましてや、銃夢ガリィやワンパンマンのジェノスのようにカッコよくもない

 

背中の右下、腎臓部分より

管を通して排尿できる

 

僕が得た能力はこれだ。

 

攻撃能力はない。

 

腎臓部や排尿してる管を攻撃されたら、終わりだ

 

僕は改造人間になった。

これは間違いない。

 

世界の平和は俺が守る。

 

ある日、西新宿に突然生まれた正義のヒーローのお話

はじまります。

 

王の帰還

考えてみれば

車椅子に乗って押される

っていうのも初体験じゃないか。

 

背中の痛みに耐えながら

そう思った。

車椅子の右側にぶら下がった

背中から繋がる尿バッグの中身は血だらけだった。

そりゃそうだ

あれだけ痛かったんだから

 

病室では、色々な手続きを終えた妻が待っていた。

 

車椅子に乗る憔悴した旦那

そして横にぶらさがる血まみれの袋

 

ぎょっとした顔をした。

そりゃそうだ

 

心配させまいと笑顔で旅立った旦那が

どう考えても、敗北したオーラを漂わせ、さらに改造人間にされて帰ってきたのだから。

 

初物尽くし

初入院

初膀胱鏡

初腎臓処置

初車椅子

初改造人間

 

この、たった1時間半くらいの間に、こんなに初体験することってあるだろうか。

 

夜、これまた初の病院食を食べ、意外に美味しいこと。

思った以上に病室が快適なこと。

たくさんの初体験ができたこと。

看護師の皆さんが良い人っぽいこと。

 

いやーこれも良い経験だな。

なんて考えていた。

 

突然の癌宣告と、突然の入院。

家族のこと、仕事のこと、未来のこと。

考えなくてはいけないことが山ほどあるという状況で

 

布団もフカフカだなぁ~

なんてゴロゴロしているうちに

 

その日は良く寝れた

 

ダイエット

腎臓に管を入れたことで、溜まっていた水分が一気に排出され

脱水症状になる可能性もあるため

水分を点滴された。

さらに、できるだけたくさん水分を摂るようにも指示された。

 

処置後

一晩で3リッター近くの水を飲んだ

 

尿バッグは点滴棒下部に引っ掛けてあり、満タンで2,500ccまで溜められる

腎臓処置をしてから、数時間毎に看護師さんが尿の量を計り捨てに来てくれる。

 

一晩で

10リッターの尿が出た。

 

次の日

鏡に映った自分は別人だった

 

太ったと思っていた部分は全て

排出されず体内に蓄積された水分だったということだ。

オソロシイ

 

10リッター=10キログラム

 

摂取した水分を考慮しても

一晩で5キロくらいは減ったんじゃないか。

 

それくらい

鏡に映る自分は別人だった

 

おいおい

よく見たら自分、男前やないかーい!!

 

誰も言ってくれないセリフを

心の中で、惜しみなく鏡の向こうの自分に送ってやった。

 

CT検査、MRI検査、X線検査、肺活量?なんやらなんやら

数日かけて、たくさんの検査をした。

 

今回はとりあえず検査中心の入院ということもあり、入院期間は1週間。

22日の月曜日に退院予定だった

 

20日の土曜日、妻と長男がお見舞いに来るということで外出許可をもらった。

ランチして、買い物して、ブラブラして~

 

病院に戻り

 

熱が出た。

 

腎臓の炎症が原因だった

 

木曜夜くらいから、なんとなく違和感があった。

 

看護師さんや先生には伝えていたのだが、大丈夫とのことだった。

 

日曜から40度オーバーの熱が3日ほど続いたおかげで

もちろん退院できるわけもなく。

 

結局、4月の30日

 

僕の記念すべき初入院は、平成とともに幕を閉じた。

 

ちなみに

40度オーバーの熱が3日以上続いたのも人生初なんだと思う。

 

はじめてのにゅういん~完~

 

 

 

 

 

 

 

第8話 勇者になるか改造人間になるか~ハズレなしのくじの、ハズレの概念がわからない~

こんにちは。

 

数日前

お尻の穴に

白光りする

ロケットのような

ミサイルのようなものを

挿入し

なくてはならないものになり

限界がくるたびに求めるようになった

 

そして今日

陰部一帯を切り抜かれたパンツを穿かされ

数人の男にM字開脚の格好をさせられ

陰部の先からゼリー状のものを入れられ

カメラで中を見られた

 

母さん

僕、健一は

40歳、春にして、新しい世界に足を踏み入れてしまったようです。

 

ご興味ございましたら、先へどうぞ。

 

竜王とショッカー

腎臓に管を入れる

腎臓に管を入れる?

ドユコト?

 

ハテナと不安しかない状況で

指示された扉の前で待つ。

 

何も装備せず

ラスボスと戦う感じ

ただ、この数日間で相当経験値は積んでる。

人生経験も豊富な方だと思う。

レベルは低くないだろう。

装備はなくとも、そう簡単には負けない自信はある

 

またもベテランご年配タイプの看護師さんが扉から顔を出し

「中林さん、どうぞ」

と中に案内される。

 

上部にモニターが付いた施術台。

施術室とガラスで隔たれた向こう側にパソコンやモニターが並び

数人の人たちが何か準備をしている。

 

戦いに来た。

ではなく

捕らえられ

実験、または拷問される。

という感覚の方が近いことに気づく。

 

なんてこった。

 

どうせなら、仮面ライダーにしてもらえることを祈るしかない。

 

実験準備

上下ともパジャマのような服に着替えさせられ

血圧を測る。

 

施術台にうつぶせで寝る

お腹の下に四角いクッションのようなものをはさみ

胸の部分に枕を抱きかかえる感じの体勢だ。

 

先ほど膀胱鏡室でお会いした先生方が現れ

背中部分のパジャマを上までまくり

腰あたり、腎臓部分が切り抜かれた紙みたいなものを背中に貼り付ける。

 

背中側で施術が行われるため

あくまで僕の推測であり、たぶんなのだが

腎臓部分をレントゲンやエコーのように映しだし

先生はそれを見ながら管を入れる

ズームや角度、反転や撮影などは、

施術室の指示に合わせて、ガラスの向こう側からコントロールする。

そんな感じだと思う。

 

地獄へようこそ

背中に麻酔の注射を打たれる。

麻痺したところで、たぶん、皮膚を切られる。

そこから管?を中に入れる。

あくまで、推測だが。

 

ここからが問題だった。

 

麻酔は、あくまで表面、皮膚部分の麻酔であって

内臓部はとんでもなく痛い

内部の映像を映し出すために、造影剤ってやつを流しこまれるのだが

それだけでも痛い。

そこに腎臓内部に到達するまで、管を何度も突っ込まれていく。

何度も突っ込まれるたびに、腎臓に溜まっていた尿が噴出する。

 

「ここ痛いですよ、頑張って」

「ぐぉぉぁぁぉぁぉぁーーーー!!!!、、、、」

「もう一回いきますよ、頑張って」

「ぐぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぉぉーーー!、、、、」

 

「ま、ま、まだっすか、、、ぐぉ、、まだっすか?」

「あと、、3回くらい、頑張って」

「さ、3回、、、かよ、、マジか、、くそ、くそ、、、」

「いきますよ、頑張って」

「ぐあああぁぁおぉおおーーーー!!!、、、」

 

地獄でした。

 

えぇ、はい。

 

膀胱鏡の痛さなんて、蚊に刺された程度でした。

間違いなく、人生で一番痛かった

なんだろ、外傷ではない、経験したことのない内部の痛み

 

「せ、先生達はこれ経験したことあるんすか?」

「ないですね」

 

膀胱鏡の時のように、捨てゼリフのタイミング

先生方も、この流れまたきた!って思ったであろう

 

「こ、これは、やめたほうがいいす、、スゲェい、痛いから、」

 

セリフ捨てられなかったー!!!

逆に拾い行ったー!!

 

ぼろ雑巾のように体力を消耗した僕は

車椅子に乗せられ

部屋に戻りました。

 

仮面ライダーになるどころか

なんだか背中から管が出て、尿が溜まるバックが付いただけでした。

 

敵に弱点バレバレになってもうてるやん。

 

つづく

第7話 初入院からの初体験~この歳になっての初物尽くしは刺激的過ぎました☆~

こんにちは

 

今日の夜は予約で満席 朝までコース

ランチは好調

お弁当販売も好調

ディナーはやっと右肩上がりになってきた。

 

腎臓

入院

 

自己管理不足の自業自得

 

基本的に楽観主義者

いいかげんのポジティブ思考

折れることのない適当人間

 

いやー今回はさすがに堪えた

人生最大の事件になりうる状況に震えた。

 

その後のお話。

 

「うーん」と「ごめんなさい」

金曜の夜

土曜の夜は店を閉めた

 

金曜、土曜とご予約をいただいていたお客様達は

みなさま本当に良い方達で

こちらがご迷惑おかけしているのに、みなさま暖かいお言葉をかけてくれた。

誇張した表現ではなく、本当に「みなさま」がだ

 

おかげで

金曜日夜から日曜日夜まで

腎臓の痛みはもちろんだが、罪悪感がほとんどだった

唸り声と、お詫びの言葉がグルグルしていた気がする。

ただ、心配してくれている人たちの温かさも知った

 

先生に言われたとおり

座薬は限界の時に1回使用しただけだった

もうひとつの痛み止めは、座薬ほど効き目は強くなく

その分唸ってる時間が増えた。

 

耐え忍ぶ

 

この時から始まったんだと思う。

 

初入院

4月15日

病院で妻と待ち合わせ、入院するフロアーへ行った。

 

6人部屋の病室、通路側のベッドに案内され

入院に必要な書類や、今日のスケジュール

簡単な館内説明や注意事項など。

よくわからないので、入院経験のある妻に任せた。

 

新しい住処を手に入れるとワクワクしてしまう悪い癖

やっとこの傷みから開放されるんだろうという喜び

 

どちらかというとテンションは上がり気味だったのかもしれない

 

採血、尿検査、膀胱鏡、腎臓に管を入れる。

今日の、いや、今すぐとりかかる任務だった。

 

膀胱鏡?

腎臓に管を入れる?

 

辱めプレイ

採血、尿検査は一瞬で終わり

問題はその後からだった。

 

膀胱鏡

3年前に血尿出た時、ネットで出てきたんだよなぁー

ち○この先っぽからカメラ入れるってやつ

とにかく痛い

それを読んで恐怖に慄いた記憶がある

 

ご丁寧に

膀胱鏡室という部屋があり

ベテラン感を漂わせる、ご年配看護師に案内され

パンツまで脱ぎ、ち○この部分だけ切り抜かれているハーフパンツに着替えるよう指示される。

 

この時点で辱めポイント2である

 

次に分娩台みたいな機械に乗るよう指示される。

乗ると勝手にM字開脚になり

向こうから見るとち○こ丸出し状態になる。

 

さらに辱めポイント+4である。

 

先生達が登場し

お腹あたりにカーテンのようなものがひかれ向こう側が見えなくなる。

 

ち○この先を広げられ、穴にゼリー状の麻酔を入れられる

この時点でちょっと痛い

 

こんなん辱めポイント+4である。

10ポイント先取である。

 

そして何かを入れようとしてるのがわかる

途中で

「中林さん!ここだけちょっと我慢!」

と言われ

「いっっっったぁぁぁ!!!」

 

たぶん、膀胱に入る手前の部分だろう。

痛かった。

 

こんなん辱めポイント10じゃ全然足らんやん。

 

抜く時も、同じ場所で

「いっった!」となったが

無事に終わった。

 

辱めの後に、、

 

先生たちに、この辱めを受けたことがあるのかと聞いたら

誰も受けたことはないとのことだった。

 

「いつか味あわせてやるんだからなぁ!!」

 

たった今、経験したことのない辱めを受けた

40歳おっさん全力の捨てゼリフだった。

 

膀胱鏡室を後にし

次に指示された場所に向かう。

 

腎臓に管を入れる、、、

ドユコト?

 

この後、膀胱鏡が子供の遊び程度だったことを知ることになる。

 

つづく。

第6話 人生は選択の連続である~シェイクスピアに言いたい「たしかに!!」~

こんにちは。

 

突然の癌宣告

 

かーらーのー

 

腎臓の数値が大変なことになっちゃってる事件。

 

重いですねー

 

どういう角度で見ても

どういうテンションで聞いても

 

重いですよねー

 

あたし笑っちゃう

 

ぎゃーくーに!!

 

そう!

笑っちゃうんだから!

逆に!!

 

そんなテンションで迎える今回のお話

どうぞ

 

決断

小さな部屋のベッドに寝転びながら考える

 

入院するか

家に帰るか

 

たかが2択

 

なかやまきん○くんの

きんにくルーレットだったらどっちを選ぶのだろうか

 

どちらにしても入院には変わりない

数日違うだけ

 

いかんせん

入院ということ自体が人生初なのもあり

腎臓

初入院

という、人生初の最強コンボに思考がやられてしまっていた。

 

今晩どうすんだ?

通常なら明日の夜もオープンだろ。

 

入院なんかしてられねぇんだよ

 

ミサイル禁止令

「月曜朝入院でお願いします」

 

「わっかりました。そしたら、痛み止めを処方するんですけど、

今日までと、先ほども使用した座薬は、腎臓に負担をかけるんですよ。

なので、でーきーれーばー使用してほしくないかなと、えぇ」

 

なんですと?

 

代わりに、肝臓で分解する錠剤の痛み止めを処方するのとー

最悪、それでも全然効かないって時のために、今までと同じ座薬も処方しておきます。

が!できるだけ使用してほしくないかなと、えぇ。

とにかく、なにかあればすぐ病院に電話なり来るなりしてください」

 

痛み止めにも色々あるんだ、、、

暗にミサイル禁止って言われたようなもんだな。

戦争反対

兵器反対

 

ラストスパート

泌尿器科を出て

お金払って終わり

 

というわけではなく

 

病院内の癌相談センターみたいなとこと

入院手続きカウンターに行くように指示され

 

不安や恐怖に負けないで

癌に悩んでる人はあなた1人じゃありません

いつでも相談に来てください

 

みたいなお話をされ

 

僕、やっぱり癌なのね

 

とモヤモヤした再確認をしながら入院手続きカウンターに向かい

 

部屋の料金や食事代、持ち物やレンタルなどの事務的な手続きをし

やっとお会計

 

案の定

お金が足りず、近くのコンビニATMへ走り、支払いを済ませ

処方箋を持って薬局に行き

 

全てが終わった時には15時半を回っていた

 

帰る

とにかく疲労困憊だった

疲労困憊なんて初めて使ったくらい疲労困憊だった。

 

腎臓

入院

 

今考えても、心から最低だと思うのだが

予約で埋まっている数時間後の夜が

どうでもよくなってしまっていた

営業するのなら、ダッシュで店に行き

仕込みをしないといけない時間だった。

 

少なくとも数日前まで思い描いていた未来が

崩れていくのが、なんとなくわかった。

いや、はっきりとわかったのだが、それを直視するのが恐かった

 

予約のお客様に、お詫びのご連絡しなきゃな、、、

 

僕は家に帰った。

 

つづく。

 

第5話 続ラブストーリーは突然に~君、子持ちだったんだね~

こんにちは

 

私生活の中に

「癌」という単語って

意外と溢れてると思うんですよ。

 

身内や知り合い、有名人

本や漫画、テレビや映画

多いときは、数日に1回くらいのペースで目や耳にするんじゃないかと。

 

癌宣告のシーンてあるじゃないですか。

 

診察室で、先生の前に夫婦や、保護者が座って

「非常に言いにくいのですが、、、、~さんは、、、癌です、、、」

「え?、、、」

みたいな。

 

あくまでイメージですよ?

 

でも正直どうなんですかね?

こんな感じで宣告されるんですかね?

 

え?

僕?

 

全然違いました

 

今回のお話はじまります。

 

挙動不審

診察室を出て、とりあえず採血と検尿をしに、指示された場所へ向かう。

 

癌かぁー!!癌かぁー!!

いきなり過ぎてビビるわぁー!

 

採血と検尿を済ませ、泌尿器科へ戻る。

この間、完全に挙動不審なおっさん

 

待合室で待つ。

 

頭の中グルグル

 

家族になんて言うかなー。

子供たちにはまだ言うのやめとこう

奥さんにはなんて言うかなー

あー親にもなんて言うかなー

店どうするかー

金どうするかー

アルバイトの子達、お客様、業者関係、、、、

 

あぁぁぁーーー!!:;@@;|~^=‘*‘!

 

やめた。

 

考えるのやめた。

 

とりあえず落ち着こ。

 

シコウカイロ、ストップシマス。

 

横になる

痛いな、、

 

待合室の時計を見ると、13時過ぎだった。

最後の座薬を使ってから、ちょうど6時間くらい。

 

ヤバいな、、

 

朝の痛みが蘇ってきて、普通に座ってることもキツくなり

椅子を2つ使って、軽く横になった

時間的なものだろうが、運良く待合室はガラガラだった。

 

ウーンウーン唸っていると

中のベッドで横になってお待ちになります?

と看護師さんが、診察室に近い、ベッドがある小さな部屋に案内してくれた。

使用していた座薬を持ってきてくれるとのことだった。

 

追い討ち

座薬も効きはじめ

待合ベッド?でゴロゴロしていると

どこからか

「中林さん、何番のベッド?」

と少し慌しく、先ほどの先生の声が聞こえた。

 

「なーかばやしさーん!」

「こーれ、腎臓の数値も大変なことになっちゃってるんでー、入院しないとー!

ガラガラ!

部屋のジャバラ扉を開けながら、先生が言った。

 

まぁ、ついさっき癌宣告された時点で

無意識に、入院はセットになってたわけで

 

一番の問題は

今日の夜をどうするか

ということだった。

 

しかし、ついさっき膀胱に癌宣告。

たった今、腎臓???

よくわからない追い討ちキタァァァァァァァァー!!

 

「えーと、どうすればいいすか?」

 

先生いわく

ベストは今すぐ入院して、腎臓の処置をする

しかし、金曜午後から土日は予定がいっぱいで、人手も足りない

もしかしたら、処置を強引にねじ込めるかもなんで、確認する時間を少しください。

とのことだったので、待つことにした。

 

2択問題

ガラガラ!

ジャバラ扉が開いて、先生が立っていた。

 

結果として、ねじこむことができなかったこと。

 今後の方法としては2つあること。

 

このまま入院するが、処置はできないので、痛み止めなどをつかって、処置のできる月曜朝まで頑張る

メリットは、病院管理下にいるので安心

デメリットは、入院準備を何もしてないので、いろいろと不便がある。

 

土日は家に帰り、処方した痛み止めで頑張ってもらい、月曜朝一で入院の、そのまま処置。

メリットは、家に帰れる。入院準備ができる。

デメリットは、何かあったときに、病院側はすぐ対応することができない。

 

マジか、、、

 

癌、、、

腎臓、、、

 

どうすっか、、、

 

「すいません、ちょっと考える時間もらってもいいすか?」

 

つづく。

第4話 ラブストーリーは突然に~見知らぬ二人のままでいたかった~

こんにちは

 

ミサイルは尽きた、、、

 

打つ手なし。

絶体絶命。

万事休す。

はい、お手上げ。

 

オーイ

カミサマデシタッケ?

ミテマス?ココデスヨココ!

 

いったいこれからどうなってしまうのか。

ジェットコースタークライムホラーサスペンス

 

つづきを見る前に

 

たばこでも吸いますか。

 

4月12日金曜日④東京医科大学病院

店からも近く

借りている部屋からも遠くない

泌尿器科もある。

東京医科大学病院でいいか。

火曜日から決めていた。

 

明日の午前に来る予定ではあったが

 

旧館前の新館が完成間近ということもあり

どこが入り口なのかさっぱりわからず

15分くらい周りをウロウロした

 

入れたら入れたで、どこに行けばいいのかわからず

やっとのことで初診受付にたどり着き

保険証と一緒に、先日行った内科の診療結果の封筒を渡し、

診察代とは別に初診料5400円かかることを聞いた

 

指示された泌尿器科へ向かいながら

この病院にATMはあるのか考えていた。

 

4月12日金曜日⑤きょろきょろウロウロ

泌尿器科に着くと

そんなに混んでる感じではなかった。

 

新宿という場所柄と、泌尿器科という響きで

性病に悩む男子がウヨウヨいるんじゃないかと、勝手に思っていたのだが

蓋を開けてみれば

ご年配の男性がほとんど

逆に、自分が浮いているような気がしてソワソワした。

 

やはり病院はスキジャナイ

 

落ち着かず

きょろきょろウロウロしているうちに名前を呼ばれた。

 

4月12日金曜日⑥ハテナとハテナ

扉を開けると、30代前半くらいだろうか

少し色黒の、口ひげを蓄えた

世間ではEXILE系というのか

悪い言い方をしてしまうとチャラい系というのか

そんな容姿の先生が座っていた。

 

「え、これ、今日は何しに来られたんですか?」

「これ、前の病院はなんで、、なんて言ってました?」

 

入っていきなりの質問にビックリした

この先生良い声してるな、無意識に思った。

 

先生の目の前には、数枚の写真がレントゲンのように照らされ

机の上には数枚の紙が広げてあった。

先日行った内科のエコー写真と診察結果だろうと思った。

 

先生はそれを見ながら

むしろ目の前にキョトンと座っている患者よりもビックリした表情で

先ほどの質問を繰り返した。

 

戸惑いながらも

先日の内科で言われたこと、

これは専門外であってわからないが、近いうちに泌尿器科に診てもらった方がいい。

というようなことを、ざっと伝えた。

 

4月12日金曜日⑦フライング

「えぇ~?、、、そうですか、、、」

 

エコー写真を見ながら

何か腑に落ちないような

同時に何かすごく重要なことを考えているような

なんともいえない表情をしながら言った。

 

「これね、ここが膀胱なんですけど、、」

この前も見たので知っていた。

「ここに、大きなモヤというか影みたいなのあるじゃないですか」

内科の先生も同じこと言っていた。

 

「これ、どう見ても悪い腫瘍なんですよ」

え?

「しかも相当デカイんすよね」

え?

 

「それって、その、エコー写真でわかるものなんですか?」

聞かずにはいられなかった。

 

「ここまでのサイズになると、わかりやすいというか、ほぼ間違いないすね。

いや、だから、前の病院でもわかってるはずなんですけどね、、、」

 

えええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!???

 

悪い腫瘍て

 

癌やん

 

相当デカいて

 

マズいやん

 

そんな簡単に言っちゃうもんなの?

え? なにこのフライングされた感じ。

 

えええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!!

 

「とりあえず、採血と尿検査してきてもらってもいいですか?」

 

なんか順番が、何事にも順序ってもんが、、

 

えええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!???

 

つづく。

第3話 答えは簡単。正解は明確。しかし、応えることはできず。

こんにちは。

 

座薬デビューも華麗に果たし

座薬界の氷川き○しの地位を確立。

裏業界では

裸のミサイルを持つ男

ミスターミサイルマン

という異名で呼ばれるようになった。

 

ほらほら押さないで、順番だから

いい子だから並んで!

大丈夫、全員にサインするから

ほらそこ、パンティー投げないで!

 

木曜日の夕方の時点で

ミサイル残り2つ

 

さて、どうするか。

今回はその後のお話。

 

4月11日木曜日③

無事ディナータイムも終わり

明日の仕込みもあと少し

明日は1日僕1人なので、いつも以上に気を使う。

 

頭の中でランチのシュミレーションを何度も繰り返し

ディナーは、常連さんや知り合いがよく頼むメニューのストックを確認

よく飲まれるお酒の残量確認、余裕を持って発注

できるだけスムーズに提供できるよう、お客様に合わせた配置を考え

 

痛いな、、、

 

22時前頃に座薬の効果が切れ

残りの弾数が2つしかないため

市販の鎮痛剤を呑んでいたが、やはり効力は短いみたいだった

 

やべぇな、、、

 

時計を見ると0時半過ぎだった。

立っているのが辛い。

 

ハッシャシマスカ?

YES or NO

 

4月12日金曜日①自己管理不足

6:30

今までにない痛さで目が覚めた

3月頃に感じてた痛みは、まだ、腰痛かな、という感じだったのだが

今は、確実に内側、内臓が痛い

触るとパンパンになっていて

押すと痛みとともに「おえ」ってなる感じがする。

 

立ち上がるのも辛いレベルだった。

 

お店をオープンしてから、ランチを休んだ日はなく

ディナーも、どうしても外せない予定があった土曜日に2回休んだだけで

体調悪かろうがなんだろうが

自己管理不足でしかないので

店に立ち続けてきた。

 

たった今初めて、今日店に立つことはできないと思った。

突然、すごい勢いで悔しさが襲ってきて

涙がポロポロ出た。

 

1人で回してる時にもし痛くなったら、お客様に迷惑をかけるだけ

結局、自己管理不足。

自分が情けなくてしょうがなかった

 

痛みもあったけど

とにかく悔しかった。

40のおっさんの目から出る涙は止まらなかった

早く座薬を入れたいのを我慢して

ゆっくりとタバコに火をつけた。

 

4月12日金曜日 番外 放送禁止

40のおっさんが

朝っぱらから

泣きながら

ケツの穴開いて

白光りした太いのを挿入する

 

日本では1分に1件以上、交通事故が起きてると言われているが

朝っぱらからこんなことしてる事例は何件くらいになるのだろうか。

 

さらに涙が出た気がした。

 

これで

弾は全て尽きた

 

4月12日金曜日②問い

座薬が効いてくるのを待っている間

痛みと眠気と格闘しながら

今日のランチやディナーのことを考えていた。

 

答えが簡単なのはわかっていた

座薬が効いてきたら

店に行って、本日ランチ休業の張り紙をし、SNSでも休業報告をし

泌尿器科へ行く

間違いなく、それが正解だった。

 

座薬が効いてきても

しばらくぼーっとしていた。

正解はわかってるけど

その先の答えがわからなかった。

 

なんだかんだ

気づけば9時過ぎになっていた。

もう時間の余裕はなかった。

 

覚悟を決めて家を出た。

 

4月12日金曜日③自分勝手

店の前には喫煙所があり

近くの会社で働く人達のオアシスとなっている。

うちの店の、一部の常連さんも例外ではなく

そこで挨拶を交わすこともしょっちゅうだ。

 

今日はなんとか避けて通りたかった。

店の隣にあるため、無理な話なのだが。

 

店が近くなるに連れて

店に入るまで

挙動不審だったに違いない。

 

勝手な罪悪感と、見えない不安に押しつぶされそうだった

 

店に入り

水を飲んだ。

貸切の時や、急な外出の時

ドアの外にかけておくホワイトボードとペンをカウンターに置いた。

 

ペンを握る前に

タバコに火をつけた。

 

つづく